オンライン診療専門サイトはこちら
MENU

コラム

Column

不安という病

  • 2022年6月25日

皆さま、大分ご無沙汰しております。開院後、もう少し早くブログを更新しようと思っておりましたが、何だかんだ毎日忙しい日々が続いてしまい本日に至ってしまいました。すみませんm(_ _)m

その間にも世界では色々なことが起こっていましたね。ロシアとウクライナの問題や円安と物価高騰など、以前ブログでも触れていた半導体問題に関しては少し前にニュースなどでも皆さまの目にとまることとなっています。世界の過渡期もしくは転換期と呼ばれる時期は過去の歴史にも存在しました。その度に人類は新たな価値観や産業を革新し、乗り越えてきたという史実が存在します。しかし、一方では大きな情勢変化が社会不安を増長してしまう事も否めません。不安や恐怖は人々に様々な反応を引き起こします。我が国においては過去30年以上に渡るデフレ経済で強固に植え付けられたデフレ思考がさらに悪化したり、犯罪率の増加として現れることが予測されますが、他国は他国でその国の情勢や政策に応じて独自の反応を示すことになります。中には不安定な状況を利用することで経済発展を狙う国もあるかもしれません。あらゆる力が交差しており、ある種の均衡が崩れる不安定な時代ですが、それはそれとて我々は日々の生活をまわし、自分自身や家族の健康を保たねばなりません(^^;)

さて、今回は「不安」について考えていきたいと思います(‘ω’)ノ 日頃、診療を行なっていると不安神経症の方をよく見かけるようになりました。最近は全般性不安障害(GAD)とも呼ばれることが多いですが、要するに「発生する可能性は低くても重大な心配事である事柄が頭から離れずに心配してしまう疾患」です。言ってしまえば誰しもこうなってしまう可能性があります。というか、程度の問題こそあれ、多くの人は実際に経験したり今現在も感じているかもしれません。現代社会はよくストレス社会とも言われていますが、昔はなかったかというと、おそらくはあったのだと思います。例えば、黒船来航や幕末、戦後、GHQ統治下の日本、などはどうだったでしょうか?まさに激動の時代でありストレスを感じていなかった訳がありません。そうです。昔から存在していたはずです。考えてもみて下さい。人類の発展はその「不安」無くしては実現出来なかったと言っても過言ではありません。どうして科学技術が発達し、システムを構築し社会を発展させるか?それは多くの「不安」や「恐怖」から少しでも遠ざかるためだとも言えます。対象としては自然災害や国家紛争、エネルギー問題、食糧危機など枚挙に暇がないですが、そういった大きな問題からもっと個人的な問題まで様々です。とにかく世界はその対象に満ち溢れていますし、それこそが自然だとも言えます。この「不安」「恐怖」には二面性があるのかもしれません。それこそを原動力として進化、発展に向かう力に変換する者と、それらに押し潰されそうになり身動きが困難になる者です。後者が多くなった社会は停滞しますし、前者が多くなれば発展、進化するはずです。今の日本にはどちらのパターンが多いでしょうか?そして、それはなぜか(?_?)

私が考える結論から申し上げますと、「現代日本人には確固たる死生観を持つ者が極端に少ないから」となります。詰まるところ人はその覚悟の深さ分しか動けないんです。窮地に立たされた時こそ、それが如実に表れます。幕末、戦後日本、団塊の世代の人々は尊皇攘夷と開国、GHQ主導の日本改革、学生運動など死生観を培う場が多く存在していました。今の日本はどうでしょうか?そうなんです。問題の本質は「現代日本は死生観を獲得できる環境がない」ことなんです。これをただ単純に「平和」と呼ぶかどうかは懐疑的ですが、世界はグローバル化され群雄割拠の戦国時代であり隣国では実際、武力闘争をしています。ですが日本のメディアはこれらのニュースと芸能人の不祥事を同じ土俵に並べて報道します。年齢を重ねても死生観は育たず、覚悟は深くならず、前に一歩足を踏み出せなくなります。これらは日本の核家族化問題や資本主義経済の闇、情報統制といった多岐に渡る問題と密接に結ばれてはいますが、自己の確立や使命感といった根本的問題の方がより大きいように感じます。

平成から今に続く日本のデフレ、イノベーションの生じない産業、官民ファンドの無作為な増殖と失敗、社内留保を優先し新たな研究開発投資をしない社会、これらは景気という一言では説明不可能であり、そろそろ我々はその根底に沈む闇に光を当てなければならないのかもしれません。不安や恐怖は至極当然です。それでも未来に向けた一歩を踏み出す時期が来ているのかもしれません。

今回は我々が漠然と感じている社会不安を俯瞰的に論じさせていただきました。これからの日本を想うきっかけになれれば幸いです。定期的にブログ更新したいのは山々ですが、また間が空くかもしれません。頑張りますが(・・;)w