医療とデジタル情報
- 2020年12月19日
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オンライン診療の継続に必要なこと
さあ、今回のテーマも色々な問題があり過ぎて、どこから手をつけようか実は困っています。前回の【お医者さんコラム】で少しオンライン診療について触れましたので、その周辺から入ることにしましょう。今現在、医療業界ではオンライン診療と電子カルテは切っても切り離せない時代になっています。なぜなら一口にオンライン診療と言っても、その場だけで診療が完結していくわけではありません。今後も定期的に診療を継続する必要があるのなら、カルテ記載はある程度の精度が必要になりますし、過去の検査結果を見ながら画面やウェブカメラに向かう場合もあります。その場合、患者さんを待たせずに直ぐに必要な検査結果を見つけ出し、経過を判断して対応する必要があるからです。これを紙媒体でやろうとすると時間的に無理がありますし、あまりに非効率です。オンライン診療を望む患者さんの多くは時間的なメリットにニーズを求めます。
情報のやりとり(利便性)
この電子カルテが問題なのです。現在、日本で使用されている電子カルテの種類は枚挙に暇がないほど多種多様なものが存在しています。大手のメーカーが製作したものから、かなりマニアックな物まであり機能も異なっています。機能だけならまだしもクラウド方式だったりVPN方式だったり。オーダーリングシステム(検査指示出しに使います)が別立てだったり、情報の吐き出し規格も統一されていないのです。だから、全くと言っていいほど互換性がありません。皆様、デジタル情報の利点とは本来的にはどこにあると思われますか?答えは簡単ですよね?情報のやり取りの利便性にあるに決まっているじゃないですか?なのに、互換性が呆れるほどにないのです。さらに付け加えて言うならば、電子カルテとレセプト処理ソフトにも互換性のあるなしが存在します。しかもレセプト処理ソフトと両方向性のやり取りができるものと、できないものがあります(-.-;)y-~~~。これはもう何と言っていいものやら、デジタル情報の価値から見直さないとダメな状況なのです。各メーカーはそれぞれセキュリティーが何たらかんたらと、それはもう、もっともらしい理由を挙げるわけですが…。アン○ロイドの充電ケーブルは○Phoneには使えないのです!SON○のコネクタは特殊な形状が多いのです!恐らくこれと同じ理由です。これが世界中の企業の商品開発の現実です。日本も御多分に漏れずと言ったところでしょうか?また個人の診療情報は一体誰のものか?私自身がどう考えているのかというと基本的には個人(患者さん自身)が保有するべきものと考えていますが、現状では診療した医療機関に所有権がありますので法律上は一定の手順を踏まないとその多くは開示することができないようになっています。所有権の問題は別にしても、デジタル情報の価値が何であるのか根幹からわかっていないメーカーが、商品開発して各々の意図で各々の規格で販売しているのが現状です。
患者さん情報のデジタル化(医療現場の声)
これだけでもうんざりなのに、実際は電子カルテに画像ソフトや採血結果の取り込みなどが加わってくるともう状況は災害級です。一応のところ、画像に関しては国際規格のDICOM規格を間において各ソフトウェアーに表示されることが多いですが、ソフトウェアーによって使用感も異なりますし、わざわざ電子カルテ上にボタンをつくったりして強引に運用しています。しかしながら完全には電子カルテと連動しないことが多いのです。それはそれで扱わないと、電子カルテは次の患者さんの画面に移っているのに、画像ソフトには前の患者さんの画像が残っていたり、取り残されてしまいます。これだけIT技術やクラウド技術が進んでいるにも関わらすこの状態なわけです。他の医療機関とのやり取りなどは、未だに診療情報提供書(いわゆる紹介状です)などの作成も基本は紙ベースでのやり取りですし、画像検査結果などはCD-ROMで人の手を介してやり取りしています(愚痴みたいになっていますねwwでも本当にこの時代に?ってヤバイんですよ!)。さらに現実では緊急的に総合病院などに紹介しなければならない患者さんもいらっしゃいますので情報のやり取りはファックスで行います。昨今、患者さんの情報のやり取りを、保健所は未だにファックスで行っていると新型コロナ関連ニュースで槍玉に上がっていましたが、これは保健所だけではなく多くの医療現場や介護現場でも同じなのです。セキュリティーの観点からするとファックス番号を一桁打ち間違えただけで問題となってしまいますから、とてもではありませんが優れたシステムとは言い難いですよね。でもなぜか変わらないのですよね。オンライン診療では電子処方箋の整備や電子お薬手帳の開発など、並行してやらなければならないことがまだまだ課題は山積みです(´༎ຶོρ༎ຶོ`)。システム全体がIT化されるのはいつになることやら…。
先進各国からみた日本の医療システムは、いったいどのように写っているのでしょうか?日本のように島国である程度の面積しかない国ならまだしも、大陸分化で日本と同じシステムをとると、かなり悲惨なことになりかねません(国民が暴動を起こしかねない事態となりますww多分ですが)。こういった現実の問題を何とかしようと満を辞してやっとこ我が国でもデジタル庁ができましたね。ここまで他の先進国から相当引き離されましたから、流石に国や政治家も気付いてくれたわけです(実際、新型コロナの対応を通してマジでヤバイと思ったことでしょう!)。でもこれは行政や国にばかり責任を負わせるべき問題ではありません。医療機関はもとより、日本の企業体質にも大きな問題があると言わざるを得ません。資本主義国家ですから企業間競争は致し方ないとは思います(昭和世代の方はベータとVHS問題がありましたね?知らない世代の方、気にされなくて結構ですw)。ですが、それを理由に国を弱体化させても良いという言い訳は成り立ちません。もう携帯電話のようにガラパゴスだと揶揄されるのはどうかと(いや、ガラパゴス諸島はいい所だと思いますよ!あとパカパカ携帯も嫌いではなかったですがww)大きな力を持つ企業であればその社会的責任は問われて然るべきです。今はグローバル社会です!日本国内で競り合っている場合じゃないのですよ!大手さーん!!と勇気のある政治家さん叫んで下さい!(私の声は小さいのでwwよろしくお願いしますm(_ _)m)
今回は少し短めですが、このテーマは一旦ここで区切らせていただきます。
かみみぞ中央診療所
院長 片野智之
【アクセス】
〒252-0243
神奈川県相模原市中央区上溝3926番10